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15夜通信 / バイプレーヤーの極意.

小林桂樹さんがお亡くなりになりました.( 2010.9.16 )

いやぁ,かなりショックです. 先日の 谷啓さん からそれほど日も経っていないところへですから….

小生の大好きな岡本喜八監督とのお仕事を始め,「社長シリーズ」,堀川弘通監督との作品郡等,
その多彩な出演作数は凄いの一言に尽きます.
黒澤監督の 「椿三十郎」 での軽妙な芝居,伊丹十三監督 「マルサの女」 での素敵な芝居….

以前,北村和夫さんの時 にも書きましたが,そのそこはかとなく漂う 「とぼけ」 感が素晴らしい!
主役経験もありながら,脇に回った時にこれほど映える役者さんが,若い世代と共演する機会を
もっと作れていたらと心底残念に思います.

ちょっとおちょぼ口風な唇の使い方で丸みのあるトーンのお声,本当に大好きでした.

慎んでご冥福をお祈りいたします.

15夜通信 / 影丸死す

谷啓さんがお亡くなりになりました.( 2010.9.11 )

小生の世代にはもう役者さんとしてご活躍だったので,クレージーキャッツのメンバーだったことは
後から知ったわけですが,それでも子どもの時に何かの番組で,トロンボーンを演奏していた谷啓さんを見て,
「トロンボーンってなんて美しい完成された楽器なんだろう!」 と興奮したのを覚えています.

また中野裕之監督の 「SF サムライ・フィクション」 の中で,忍びの “影丸” という役を演じているのだけど,
主人に呼ばれると天井からサッと降りてきて 「お呼びで」 というシーンの芝居が絶妙!
中野監督も,このシーンの撮影はテイクを重ねる度に違う面白さの出方をするため,NGだったわけでもないのに
たくさんのテイクを撮ったと聞きます.
出し惜しみせず,それに応じた谷啓さんの人柄と凄さを感じるエピソードとして心に残っています.

小生が言うのも僭越ですが,また稀有な芸人さんが逝ってしまいました.

慎んでご冥福をお祈りいたします.

15夜通信 / とぼけた感じ

昨日,北村和夫さんがお亡くなりになりました.( 2007.5.6 )

とても大好きな役者さんでした.
久々の15夜に準備していた記事もありましたが,思わず筆を取っています.

「にっぽん昆虫記」や「神々の深き欲望」など一連の今平作品は印象的.
生前,今村監督が「オレにはまだ,北村も小沢もいる」とおっしゃっていましたが,もう小沢昭一さんだけに
なってしまいました… ,なんとも寂しいです.

近年では昨年の大河,「功名が辻」の有名なエピソード〝十両の馬〟の商人役が,おそらく小生が見た最後のお仕事となりました.
その昔,撮影所には切られ役専門の「大部屋」という役者の卵集団があり,後年そこから様々な名バイプレーヤーが
生まれましたが,北村さんはいわゆる正統派な流れのバイプレーヤーとして存在した落ち着きがあります.

小林桂樹さんとも似た「とぼけた」感じの出せる稀有な方だったと,僭越ながら拝見しておりました.
黒澤監督の「天国と地獄」で共演されている同じ文学座の加藤武さんが葬儀委員長をされるとのこと… .
同作品で加藤さんは若い刑事役でしたが,北村さんは聞屋の役だったと記憶しています.

何とも感慨深い気がいたします.
慎んでご冥福をお祈りいたします.