アスペクト.

昨日,YouTubeを見たら画面が横長になっていた… .

> Prelude002: キハチだるま


調べてみたら,ちゃんとニュースに出ている. (^^;
CNET Japan > YouTube、ワイドスクリーンに新対応

小生のお仕事でも,一昨年あたりから4:3と16:9のお仕事の比率が逆転を始め,今年は現時点で8割以上が16:9の撮影だった.

SD,HDに関わらず,アスペクトはもう16:9が主流だといってよい. 数年前から,展示会のプラズマもワイドが多いし,局の地デジの
件が,さらに拍車をかけ,また民生のビデオキャメラもHDV化され,家庭でも当たり前にワイドな画面が受け入れられつつあるようだ.
厳密には,映画のビスタやシネスコとはアスペクトがまったく違うが,HDの16:9がそれに変わる勢いで駆逐している.

そこでこの過渡期だからこそ出てきた新たな問題が2つ.

まず一つ目は,お客さまからのオーダーが,撮影素材は4:3と16:9のどちらでも使用できるように撮ってほしいというもの.
最初に言ってしまうと,そういうことは難しいです… . (^^;

割り切って,どちらかのアスペクトで撮ったものを後で任意にトリミングするしかないし,そういう半端な絵は弱いので鮮度が短い.
そもそも,4:3と16:9は絵の作り方が根本的に違うし,また得手不得手もそれぞれに違うので,
「この砂糖,甘くも辛くも使えるよう精製してくれる?」
と依頼しているのと同じ感覚なのだ.
厳しいっす… .

2つ目の問題は,16:9の絵を感覚的にきちんと掴んでいる撮影部やスタッフが育っていないこと… ,これは実は深刻.
画面構成に関する基本的なセオリーと,上映される時のスクリーンサイズを考慮しつつ,シナリオの狙いに沿った撮影を丁寧に行い,
編集,ダビングして作品を完成すること. これが作業に従事するプロスタッフに与えられる課題だが,基本的な技術は
勉強するしかないし,理解力やセンスの部分は各自が意識して研鑽を積むしかない.
それにしては,「映画の文法」「マスターズ オブ ライト」 を読んだことも見たこともない,または 漱石も鴎外 も手にしたことのない
若い人が多い… .

16:9化が進み,導入されるスクリーンサイズが大画面化している.
ルーペやファンダーは50ミリほど,確認するモニターは30から50センチくらいの画面幅で,それで確認した時には
豆粒ほどの大きさでも,もし上映のワイドが3メートル近くあったり,もしくはモーターショウや映画など,ワイド20メートル以上
のような時にはそれで十分大きい. それがわからないようでは,自分が居間でTVを見ている感覚や家庭用ビデオで
撮っているのと同じではないか. それを理解しているからお仕事としてやれるし,そのためには日進月歩,学ぶしかない.

前述の著作らは 「技術力」 を,後述の作家たちは 「想像力」 を鍛える.
ということで 「こちらの人間」 は基本的にかなりの勉強不足. ちょっと苦言です… ,自分も含めて. (^^;

小生よりも遥かにベテランでキャリアもある人が,様々な場所で開催されるワークショップなどに勉強に行っているのを見ると
焦りを覚える. 撮影や照明等,技術畑の人々はとにかくその蓄積しかない.
ただしかしそれだけでなく,方法論は無限大で,これという確固たるものなどないし,サーフィンやサッカーでもいいし,
美術館や音楽鑑賞でもいい. それぞれに精進をしよう. 小生もガンバらねばと改めて思ふ.
せっかくなので,今年の小生のお仕事の中から,両アスペクトをそれぞれ1本ずつ弊社サイトにUPしてみた… ,イントロだけ. (^^

4:3 のお仕事 >    16:9のお仕事 >

film & video ボタンからエントリーできます. これからはプライベートでも,両アスペクトを楽しみたい.
やっぱり映像の演出は面白いっす.

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