ジャングラー.

2日前に,自転車が壊れました… .


この自転車は,学生の時に仲間4人で野営しながら北海道を輪行した折に新調したもので,もう十数年の付き合いになります.
近所に,親切でプロフェッショナルな自転車屋さんがあり,しかも小生はその方と小学校の後輩だったので,購入の際には
本当に親身になって相談にのってもらいました.
そして,またその北海道の旅の楽しかったこと! 未だに同期と飲むとその話題が出るほどです.
北海道の人々はとてもとてもやさしかった… .

その自転車ですが,買った当初に高校の友人が 「 お前のことだから轟天号とか,そういう名前など付けたのだろう 」などど
言われ,「何を!もっとモダンな命名をしているわい 」という不毛なやり取りをしたあげく,気がつくとついた名前が
「 ジャングラー」ということになっていました… .

修理をしながら大事にペダルを踏んできましたが,近年,次々といろいろなところがイカレ,
ついにア・バオアクーのガンダム状態… . オールド・タイプの小生としては決断の時を迫られたということですな .

小生とジャングラーとの長い関係やそのエピソードがあるとします.
そして壊れた今,新しいママチャリに,ジャングラーのベルやショルダーパッド,そしてエンドバーを移植して使おうとしています.
そして,ネオ・ジャングラーで,また変わらない日常に戻っていきます… .
その小生がロシアに移り住み,そこで出会った一人の女性と恋に落ち,言語や文化を越えて結婚.
しかし内紛に巻き込まれ,妻を失い,子どもも大怪我をし,あと24時間以内に輸血しないと死んでしまいます.
隣町まで行けば,同型の血液が入手できますが,交通機関も死んだ今,唯一の高速な移動手段は自転車のみです.
小生は一か八か,自転車に手にします… が,血液は入手できたものの,帰りにその自転車を強盗に奪われたあげく,
自らも負傷し,しかも血が止め処も無く流れていきます. もう一度自分のために隣町に向かう時間は残されていません.
戻れば自分は助かりますが,子どもは死んでしまいます.
このまま向かえば,子どもは助かるかもしれませんが,助かった子どもに自分は会えないでしょう.
その時に小生がとった行動とは… .

この戯言の前者と後者の関係は,小生の考える映画の大小の相関関係です.
つまり,それぞれ別々に,前者を描くことを小品,後者を描くことを王道,大作と考えます.

大きなスクリーンで上映することやお金をかけることがそれというのは勘違いだと思いますよ.
そして映画として描く基本は後者にあり,前者は映画のメインテーマではないのではと思います. 何故なら,前者は自分が
何をしたとか,自分はこう考えるとか,全ての起点が自分以外に何もないからです.
例えば,何故,自転車をジャングラーという名にしたのかを掘り下げるのといっしょです.
不特定多数の人々が見る「映画」という媒体は,本来もっと広い受け皿なものであってほしい. ジャングラーのことは直接
描かれていないが,そのユーモアが(?),ロシアの極寒の地の四面楚歌な小生を自ら救うかもしれない… という
人間の描き方が映画の人間の表現だと感じますね.

前にも書きましたが,小生の想う映画とは,人生の追体験です.

では人生とは何かと言うと,それは写真家の故・星野道夫さんの言葉が一番しっくりときます.

Life is what happens to you while you are making other plans.

人生とは… 何か計画している時に起きてしまう別の出来事.
今年も残すところという時期ですが,今上映中のものやこれからのものも含めると,けっこうな数の邦画がやっています.
それぞれに一生懸命に作っていますし,話題の俳優さんたちの作品が目白押しですね .
面白そうだなぁと感じるものが,皆さんにもあるのでは.
しかし,どの作品もその人物の背景止まりがそのまま映画になったものばかりという印象があります. もちろんそれはそれで
面白いものはできると思いますが,面白い,つまらないという好みのお話ではなくて,選択肢として非常に狭い閉塞感を感じます.

まず邦画が一番最初に手をつけるべきは,作る側の不勉強の是正と王道映画製作です.
前者はそのままの意味ですが,後者はそのツケともいうべきでしょうね. 王道とは,つまり昔で言うと,
黒澤・小津・溝口のような 「THE 映画 」のことです.

このような広いキャパの作品を作るには,当然その制作者にも広いキャパが求められます. 広いキャパとは,万葉集や古事記,
近松や浄瑠璃から,週刊現代や文春,nonnonや東スポまでを同じテンションで接しているかということですな.
そんな馬鹿なと思う方もいると思いますが,先の3方はそういう人でした .
そして,その映画で描かれている人間たちも〝Life is …〟な人々ですね.
つまり,人としての経験値や人間力がなければ,「別の出来事」は想像できず,またその人間力とやらをUPするには,
理屈ではなく,丁寧な生き様を意識することなのではないでしょうか.

一見無関係に思えるこのことを関連付けるセンスが肝要かと存じます.

・ジャングラーの出典について
参考にということでお見知りおきを… .

Comments

  1. ウルトラマンに登場する灼熱怪獣かと思いました。
    よくよく考えたらあれはザンボラー・・・。
    全然違いました。(笑)

  2. gauche says:

    > samurai-kyousukeさん

    おはようございます.すいません,まぎらわしくて.(笑)
    全邦画ファンに告ぐというつもりだったんですが,そういうタイトルには思えないですよね…反省.
    お金が動いている今の時期に邦画は考えないと,また二の舞,三の舞が待っているので少々焦りますね.

  3. 僕もmyチャリには名前付けちゃいます。
    必ず「流星号」

  4. gauche says:

    > C@サイドしぃさん

    おはようございます. 驚きました!
    実は命名の時に,もう一つ候補があったのですが,それが流星号でした.(笑)
    類友と呼ばせてください !!(笑)

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