ウォルター・ヒル監督
原題 「STREETS OF FIRE」
邦題 「ストリート・オブ・ファイヤー」
1984.8 日本公開 アメリカ / 94min カラー / Aビスタ
ポップコーンとコークでもうご機嫌! ストロングな THE アメリカ映画 !!
フェミニズムの騎士にとっては,まさに敵のような映画ですが,いつからかこの手の青春映画がなくなり,
変に落ち着いた映画か,猟奇的なものばかりである気がします.
とにかくウォルター・ヒルという人の映画は,男は拳骨で勝負,飲み物はテキーラと決まっていますから,
逆に昨今の小生を含めた軟弱な男性陣からみると,なんと暴力的な映画だろうと思われてしまうのかな?
それにこの映画でヒットした「TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG」を「今夜は青春」と訳すセンスも
あわせて再度見たいと思わしてくれます.
でも左脳ばかりが肥大する現代で,こうした右脳的映画が再度復権してもいいのではとひそかに感じますね.
同じ年に公開された「フット・ルース」やこの前年の「フラッシュ・ダンス」,そして87年の「ダーティ・ダンシング」等,
80年代には右脳で恋する映画が全盛で,思春期なのに狡猾でウダウダした手合いが増えそうな昨今の空気には
またあって欲しいジャンルのひとつだろうと思いますよ.
マッコイ役のエイミー・マディガンが,この作品の数年後の「フィールド・オブ・ドリームス」にケヴィン・コスナーの奥さん役で
出てきた時には「 この人は本当は強いんだ… 」と心のどこかで感じつつ,逆にドキドキしたというのも記憶に残っています.
そんな中でも本作品は硬派というべきでしょう. なぜなら最後に別れがあるからです.
用心棒が帰ってくる西部劇みたいな映画ですが,その意識される雰囲気はハードボイルド. それにしては,女性の扱いが
粗野ですが,そこがある層にはまたたまらんのでしょうな.
ユニバーサルのマークが出てきてから,ノリのいいノイジーなギターサウンドをバックに,ダイアン・レイン演じるエレンがさらわれ,
今度はライ・クーダーのカッチョイイスライドに乗って,マイケル・パレ演じる伝説の荒くれ野郎トム・コーディが電車で帰ってくる… .
このプロローグからオープニングの最後に監督ウォルター・ヒルがクレジットされるまでのところがたまらなくかっこいいんですよ!
学生の時はレンタル屋さんで借りて,このオープニングだけを何度も見ましたね.
また,全然ロック・スターに見えないダイアン・レインもよかったし,バンドの役の人たちも全く楽器のできない人が演じていると
わかるのもいい. こういう理屈を越えて,それを成立させるパワーのある映画,もちろん時代もありますが,
今また求められてもいいでしょう?
そしてレイヴェン役のウィレム・デフォー… ,完璧です.
とにかく素晴らしい,まさに適役です.
色が白くで体も細く病的,主役のパレとは真逆の体の線を持ちつつ,それが何とも言えないファッションセンスで,
ストリートギャング「ボンバーズ」のリーダー… . こんな弱そうなリーダーがあんな多くの乱暴者たちを束ねているわけですから,
さぞかし最後に必殺技が用意されているのだろうと普通思いますが,これがやっぱり弱いんですよ!
小生はいっぺんにこのウィレム・デフォーのファンになってしまい,この後の様々なシリアスな役柄も拝見しながら,
その確固たる実力にまた逆にあのレイヴェンという役が好きになりました.
そして「 スパイダーマン 」で再びパワーアップした敵役で帰ってきた時には涙を流しました… ,嬉しくて!
また,ダイアン・レインという人も少し前に「 トスカーナの休日 」という映画を見た時に,やっぱりきれいな人なんだなと思いました.
その映画で彼女は,地中海特有のシャープなラインを持つ真っ白なワンピースを着るのですが,これが本当に美しい!
思わず,その姿には目を奪われます.そして再び,このエレンを見ると感慨深いものがありますし,また最近の活躍を目にして
嬉しくもなります. おそらく自分の思春期を肯定してくれている気がするのだと思います.
とにかく今の若者や子どもを取り囲む大人の用意する環境は,それを祝福し,肯定してあげる心配りが無さ過ぎます.
この映画も暴力的なシーンが多々ありますが,もっと彼らを信じて,人生の楽しさを謳歌する作品が
あってもいいのではないでしょうか.
小生は,このストロングな演出のウォルター・ヒルも好きですし,しなやかなエイドリアン・ラインやシドニー・ポラックも大好きです.
このように一人の感覚にも無数の好みがあり,またこれが人口の数だけ可能性があるとすれば,映画には,もっともっと様々な
楽しみがあってもいいでしょう. 大人には大人の,思春期には思春期の,そして子どもには子どもの楽しめる映画があり,
しかしそこに生身を感じさせる人生の輝きがあれば,それが普遍性となって,逆にどんな世代をも震わせる映画になると思います.
それが翻って,自分の人生を肯定してくれていると,ままならないことの先にも何かがあると,今の若い世代に感じさせることが
できたら,それ以上の映画はないでしょうね… .
そんな素敵な映画を見たいものです. がんばれレイヴェン!
・ストリート・オブ・ファイヤー特集
ブログでなないのですが,是非見てみてください!・愛すべき映画たち
この映画の好きな輩は小生も含め総じて,同感だと思います.・映画、言いたい放題!
魚屋の兄ちゃんは小生世代の多くが頷くところです.
初めまして、TB&コメントありがとうございました。
記事内リンクも貼っていただき、ありがとうございます!
おっしゃるように、右脳的映画の復権を期待したいものですね。
『フィールド・オブ・ドリームス』のくだり、同じことを思いました(笑)
>こんな弱そうなリーダーがあんな多くの乱暴者たちを束ねているわけですから,さぞかし最後に必殺技が用意されているのだろうと普通思いますが,これがやっぱり弱いんですよ!(笑)
そうなんですよね!最後の最後まで必殺技はありませんでしたね(笑)
今後とも宜しくお願い致します。
おじゃまいたします。
この映画は公開当時ハマってしまって、劇場で何度も見てしまいました。突込みどころ満載のストーリーですが、大好きです。
この映画を見るまではサスペンダーはダサイと思っていたのですが、パレ君が格好良かったので真似してしまいました。(笑)
アメ横でバタフライナイフを買って練習したのは秘密です・・・。
TB&コメントありがとうございます。
私はウィレム・デフォーのファンなのですが
この作品で初めて観たときは吹いてしまいました。
あれは笑う所ですよね?(笑)
確かに「色が白くで体も細く病的」ですが
後半、マイケル・パレとガチンコ勝負するところは
見ごたえありました。
今後ともよろしくお願いします。(^^)
皆さん,ご来訪ありがとうございます!
> micchiiさん
小生の子どもが初めてコヤで全部見れた「ファインディング・ニモ」でウィレム・デフォーは声優として参加しているのですが,
本当にカッコイイ.予備知識ナシで行ったのですが,声を聞いてすぐわかりましたよ! あの声こそ必殺技ですね.
> samurai-kyousukeさん
TB頂いている記事,面白いですね!
早速遊びにいきます!!
> laerl38さん
笑うところです.
TVでやらなくなったのはやっぱり規制が働いているのかな.企業もCM出しにくいとかがあるのかも… .
これもまた、懐かしい映画ですね。
無血の決闘。
なにしろハンマー!でしたね。笑
>>全然ロック・スターに見えないダイアン・レイン
笑ってしまいました。すいません。
健全な西部劇のようなミュージカル映画でした。
TBを送らせてください。
こんにちは、初めておじゃまいたします。
本当に懐かしい映画ですね。
私もパレよりむしろデフォー派でした。
当時、付き合っていた彼女には
「趣味悪い。マイケル・パレの方がづっとかっこいいのに・・・。」
など言われて、
「男の渋さは君にはわからん。」と答えていた事を思い出します。
もうひとつ、この映画で印象に残っているのは音楽ですね。
すぐにサウンドトラック(レコード当時はCDはまだ無い時代)を買って
暫くの間はは聞きまくっていました。
ライ・クーダー、ブラスターズなど。
ファイヤー・インク他などは確かこの映画の為に結成した臨時(架空?)
のユニットだったと記憶しています。
この女性ボーカル(名前失念)が好きで彼女の本当のユニットで
ある"Face to Face"のアルバムも買ったりしたものです。
「今夜は青春」、はぁ、本当に懐かしい。
ちなみに、サントラ買うまで、最後にダイアン・レインの歌う場面が
口パクだと分からずに、「ダイアン・レインって歌うまいんだな。」
と思っていた事は内緒です。
> あいりさん
遊びに来ていただき,ありがとうございます. やっぱりレイヴェンは最高です.
> no nameさん
コメントありがとうございます.しかし,お名前がわからず残念です.
ライ・クーダーは小生も好きです! 「SHOW TIME」は擦り切れるほど聴いています.