原題 「THE GREAT ESCAPE」
邦題 「 大脱走 」
1963.8 日本公開 アメリカ / 172min カラー / シネスコ
この映画のスティーブ・マックィーンは文句なしにかっこいいです.
この映画で彼は話の主導権を握っていませんが,思わず主演と謳っている情報が多い… .
類にもれず,小生も倣ったわけですが,異論のある人も少ない気がします.
ポスターも1番前を走っているし… .
その昔,CG無しで地平線を人が埋め尽くすような「ベン・ハー」や「アラビアのロレンス」,
そして文字通りオールスター・キャストという脇役がイナーイ「大脱走」といった骨太な「THE 映画」と言える
作品が定期的にありました.
ジョージ・クルーニーが似たようなことをやろうとしていますよね.
でも邦画ではなかなかできません. 例えば,TVだと大河がそれにあたると思いますが,「大脱走」と比較すると
イマイチ豪華さの体感度が低い気がします.
これは小生の体感ですが,個々の人間の放っている匂いというか,生命力というか,その差ではという気がします.
つまり,きちんと汗をかく人間がそこにいるという説得力が豪華さの違いに表れるのではないでしょうか.
これを日本では,すぐメッキ的に解釈して見たくれで模倣する人が多いですが,もうそろそろ
そういうカッコワルイことはやめたいですね.
小生が高校くらいの時でしたが,TVか雑誌か忘れましたが,スティーブ・マックィーンに関して
こんなことを言っている人がいました.
「彼はガンマンの仕草ができる」
なるほどそういう見方をするのかと妙に納得したものです.
誰にでもその生い立ちや職業から自然に身についた仕草や体の動きの線があるものです.それを想像することが
役者の仕事になるわけですが,それにはまず自分の仕草,匂いに気づきがなければ,あるいはそれが自分の中に
なければなりませんよね. つまり,比較となるべき,本当の自分に対する「気づき」です.
よくインドに行って人生が変わったという言葉を聞きますが,それよりも変わるだけの人生観がなかったと
帰ってくる方が納得できます.
またひと頃,「自分探し」などという曖昧かつ抽象的な表現で若者が踊らされた時代がありましたが,
果たして探すだけの自分がまずあるのかというところに立ち返ってこそ,初めて意味のある自己探求でしょう.
自分にはまだ何もないということを認識すると,人は人に対してやさしくなれると思います.
やさしくなると,人の見方や理解に丸みや立体感が芽生えると思います. この「やさしさ」こそが芝居の第一歩だとすると,
役者がまずやるべきことは,謙虚に己の無知を認識して努力し,そしてその「やさしさ」を身に着けることになりますね.
スティーブ・マックィーンという人にはこの「やさしさ」を感じます.
小生は結婚するまで気づかなかった,小生特有の発音があります.
「ミスター・ドーナッツ」というお店がありますが,これを皆さんはどう発音しますか?
どうも普通は平坦にひと続きで発音するらしいのですが,小生はこの年になるまで,前半の「ミスター」と後半の「ドーナッツ」を
それぞれにある単語本来の発音を繋げる形で発音していました.
つまり「ミスター」という言葉と「ドーナッツ」という言葉をそれぞれを別で発音してもらえるとわかるとおもうのですが… .
これは「 無印良品 」でも同じです.
「無印」と「良品」… ,分けた発音にしていました….
今まで小生の友人たちも小生の「ミスター・ドーナッツ」を耳にしていると思うのですが,誰からも指摘されたことがありません.
これは,嗚呼ゴーシュだからしょうがねぇ,そっとしといてやろうという友人たちの「やさしさ」でしょうか… .(自己嫌悪)
何故こうなってしまったのかはわかりませんが,小生の生い立ちや性格からであることは間違いありません… .
翻って,例えば小生がキャラクターとして出てくる芝居,映画があったとします.
そこに書かれているセリフは「ミスター・ドーナッツ」.
さて,これを小生と同じ発音を思いつく役者がどれだけいるでしょうか?
きっとものスゴーク少ないでしょうね.(疑心暗鬼)
この人なら思いついてくれるかもしれない… ,そう思わせてくれることこそ,スティーブ・マックィーンという人の
魅力だと思いますし,これこそが役者の本当のスキルともいうべきだと感じます.
最近は,妻がいちいちリテイクしてくるので,
「ミスド」と自分から言うようにし始めております… .(小脱走)
・STEVE McQUEEN
ブログではありませんが,愛情を感じます.必見!・samuraiの気になる映画
本作品の印象に小生も同感!写真も満載です.
コメント&トラックバックありがとうございました。
「大脱走」と「荒野の七人」の二本は中学生の時にリバイバルの劇場公開を見ました。
あまりの面白さに夢中になりました。
私を"映画好き"の道にひっぱり込んだ作品です。
ゴーシュさん、こんばんは。度々コメントありがとうございます。
一つの映画からこれだけ文章を展開できる、その豊かさには脱帽です。
「大脱走」久しく観てません。
近いうちにまた観てみて、以前の感動が薄れてなかったら「おすすめ映画」にUPしようと思います。
ちなみに私も最近です、「ミスド」っていうようになったのは(笑)。
では、また...
> samurai-kyousukeさん
ご確認いただきまして,ありがとうございます.
小生もリバイバルを小屋で見ていますが,この作品は劇場で見て正解ですよね! 気になるのは,
貴サイトのprofile写真の2人のネコちゃん! まだ若そうにお見受けしますが,その凛々しい顔つきに思わず頬が緩みます.
紋次郎やグエムルのことも書いてらっしゃるようなので,また遊びに行かせてください.
> モカ次郎さん
いつも賛辞をいただくので,恐縮してしまいます… . 長く付き合う友人からは「一見難しそうだが,中身は単純」という
評価の小生ですが,長くご贔屓いただけると幸いです. 旧作を2本書きまして,profile通りだと次は「ショーシャンク―」
なのですが,貴ブログで扱っていただいているので悩んでいるところです.